カルチャーにおける日韓逆転を決定付けた2021年
「日韓逆転」「日本を超えた韓国」みたいな記事はPVが稼げるらしい。
一方、「韓国経済崩壊」みたいな記事もまだまだ健在のようだ。
別にこんな煽りに加担する訳ではないが、今年のグローバル市場におけるKコンテンツの躍進は凄まじかった。
■『ミナリ』のアカデミー賞作品賞ノミネート
■BTSのアメリカン・ミュージック・アワードでのアーティスト・オブ・ザ・イヤー受賞
■『イカゲーム』の世界的大ヒット
『「ミナリ」はハリウッド映画だし、「イカゲーム」だってIPはネットフリックスが持っているじゃないか。』という反論はもちろんあるだろう。しかし、グローバルマーケットでの交渉力というのは実績によって上がる。コンテンツ大国からIP大国に脱皮するためにも、Kコンテンツの認知度向上は大きな原動力になっていくだろう。
翻って日本はどうか。2021年、グローバル市場に影響を与えたヒットコンテンツはほとんどなかったといってもいい。ここ数年でも『君の名は』や『鬼滅の刃』が一部のファンの間では熱狂的に支持されたものの、全世界的な広がりを見せたかというとそうではない。
最近、『2022コンテンツが全てだ』という韓国で発刊された本を読んでいた。この本では、韓国コンテンツの勃興と比較する形で、"일본은(中略)오타쿠 문법에 더 몰입해가며 보편성에서는 멀어져갔다." [日本は(中略)オタク文法へ更に没入して、普遍性から遠ざかった]と手厳しく日本のコンテンツを評価していた。
(『2022コンテンツが全てだ』という本の表紙)
ただ、中々反論できないのが悔しい所である。『ミナリ』の映画評を見たとき「小津安二郎監督を思い出した」というコメントをいくつか読んだ。日本が生んだ偉大な映画監督を引き合いに出してもらえることは光栄だが、逆にいうとグローバル市場における日本映画は小津、黒澤で止まっているのかもしれない。
日本がここから世界に通用するコンテンツを生み出していくためにどうすればいいのか。
いくつか議論すべきポイントは容易に思いつく。
■始めからグローバルを目指したコンテンツ制作
■製作委員会方式的な文化が生み出す、中和されたコンテンツからの脱却
■政府の補助金を現場で戦う本当のクリエイターに届ける
■IPをちゃんとグリップする
などなど。
日本がクリエイティブで食べていくためには、いよいよ正念場に入ってきている。
韓国で暮らしながら、そんな思いを日々強くしている2021年の年末である。
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