韓国で働く日本人の価値の出し方

7月末付けで、昨年の9月から1年弱働いた韓国財閥系の映画関連会社を退職しました。今日は、短いながらも色々あった1年弱を振り返って、韓国で働く日本人の価値の出し方を考えてみようと思います。コンサル的な物言いをすれば「バリューの出し方」といった所でしょうか。

私が前職で意識したポイントは以下の3つです。
① 「日本」が関連する業務の全てに一家言を持つ
② コミュニケーションにこだわる、言語にこだわる
③ 「外国人かつ日本人」という特異性を利用する
一つずつ見ていきたいと思います。

ちなみに、私は日本営業というポジションで働いておりました。ビザの関係などもあり、韓国で働く技術職を除く多くの日本人は、日本に関連するポジションで働くことになると思いますので、その視点から書いています。


① 「日本」が関連する業務の全てに一家言を持つ
私は約300名いた社内唯一の日本人でしたので、担当であった営業以外のことについても、色々な情報が上がってきていました。はっきり言うと、自分の担当から大きく外れたテーマであることもしばしばでした。ただ、入社当初は自分の専門外のことでも、日本に関連する業務は一旦引き取ってから、他部署に回すようにしていました。自分の周辺業務を含めて、一旦情報を吸い上げることで、業務進捗のための手間は増えましたが、自社で手掛けている事業を概観することができました。そして何よりも、社内外で日本担当としての認知度を上げることができました。

また、日本人というだけで、「今後の日本政府のコロナ対応はどうなる?」など、業務に直接的・間接的に影響を及ぼすイシューに対して意見を求められることも多くありました。日本について聞かれたら、どんなことにでも、自分の意見を言える準備はしておくべきかと思います。

② コミュニケーションにこだわる、言語にこだわる
私は、日本営業でしたので、顧客とのコミュニケーション言語は日本語でした。日本語独特のニュアンスに対する繊細さ、それを通じた顧客との関係構築は日本人として当たり前に求められている部分です。そして、この細部にこだわる意識は韓国語でのコミュニケーションにも重要です。社長決裁が必要な稟議などその最たるもので、稟議書の一語一句にこだわる姿勢を上司には教わりました。また、社内での根回し、「聞いてないよ」を発生させないためのコミュニケーションなど、日本企業で求められる報連相の徹底は韓国企業でもやはり重要でした。

③ 「外国人かつ日本人」という特異性を利用する
韓国企業内にも社内人材のダイバーシティが少しずつ確保されつつあり、外国人社員も増加しています。ただ、日本企業と一緒で「外国人は扱いにくい」「社内文化を分かっていない」というイメージがあるのも事実。そんな時に、「空気の読める」「上下関係をわきまえた」日本人としてふるまうことで、社内で溶け込んでいける部分があると思います。ただ、これだけでは「韓国文化は分かっているが、韓国人より韓国語能力に劣る日本人」という評価になってしまいます。

そこで、必要な時には「空気を読まず」「(いわゆる)外国人らしく」大胆な意見、コミュニケーションを織り交ぜるといいのではないでしょうか。私自身、提案したいことがあるときは社長に直接メールするなど、折に触れて他の人がいいにくいことを言ってきました。その結果、社内の新規事業プロジェクトに呼ばれるなど、その意欲をある程度評価してもらえたと思います。「外国人かつ日本人」という立場を活かして、社内での振る舞いに強弱をつけることは、日本人が発揮しやすい強みかもしれません。


どちらかというと、対外的な成果の出し方というよりは、社内で評価される人材になるためにという部分に話が寄ってしまいました。しかし、気持ちよく仕事をするために、社内で認めてもらうことは必要最低限でしょう。

私はというと、韓国ソウルで次の仕事を探している最中です。お仕事、ご存じでしたら是非ご紹介ください!

(退社前、朝の会社の入口)

永井宏志郎事務所(Koshiro Nagai Office)

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