結局、金正恩死亡説とは何だったのか

しばらくの間死亡説がささやかれていた金正恩だが、5月1日に再び姿を現したことが報じられた。今回も、北朝鮮をめぐる多くの誤報のうちの一つであった可能性が非常に高い。

北朝鮮に関しては、不測の事態への準備は重要だが、分かりもしないことをあれこれ騒ぎ立てるものではない」という、当たり前の教訓を改めて教えてくれるケースとなった。

金正恩が存命であることが分かった今、多くの人が気になっているのは下記の2点であろう。
①金正恩の体調
②(不測の事態に備えた)金正恩の後継者
である。

いずれに関しても現時点で言えることは少ない。

金正恩の体調に関しては、「正確には分からないが、何か不調をきたしている可能性はある。」

後継者については、「白頭血統から出る可能性は高く、今の序列を考えれば筆頭が金与正というのは現時点ではそうであろう。ただ、年齢・性別・党内での勢力などを考えると不確定要素は多い。」

現時点で言えることは、内部情報など何も知らない素人目で見て、このくらいなのではないだろうか。逆に言えば、メディアに度々出てくる「北朝鮮筋」の内部情報とやらに踊らされないことであろう。

今回、韓国の国会議員に当選した元駐イギリス北朝鮮公使の太永浩(テ・ヨンホ)氏も金正恩重傷説を唱えていたが、そのことについて陳謝する羽目になった。元々ある程度のインサイダーであった人間でもそうなのだから、いわんや他の内部情報とやらに踊らされてはならない。

これに関しては、米国スティムソンセンターのマイケル・マッデン氏の記事が核心を突いていた。

"Rumours have always happened and there is historical record going back 30 years on this. There are a couple of places from within North Korea they can originate. (中略)But that doesn't change much about the nature of the information - it's gossip."
「うわさというのは常に起きてきたし、30年前からの歴史的記録も残っている。北朝鮮国内にはいくつか、うわさの出どころとみられる場所もある。(中略)しかし、だからといって情報の性質はさほど変わらない。ゴシップに過ぎないわけだ。」

もちろん、うわさを当てにしてはいけないが、educated guess(推測)として一つ言えそうなのは、コロナ騒動と相まって北朝鮮をめぐる不確実性が高まっている中で、米朝首脳会談などの大きな動きがまた出てくる可能性は高まりつつあるということではないだろうか。

今後の朝鮮半島情勢がどのように推移するのか。
韓国に住む者の一人として、注意深く見守っていきたい。

(写真)ソウル景福宮の裏側にある北岳山からソウル市内を望む。1968年の北朝鮮による青瓦台襲撃事件の現場ともなった。

永井宏志郎事務所(Koshiro Nagai Office)

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