与党圧勝の韓国総選挙-現地の選挙事務所からー

コロナウイルスが世界で猛威を振るう中行われた韓国の総選挙。

結果は、300議席1院制の韓国国会において与党「共に民主党」が180議席を獲得し、3分の2を単独で確保するという歴史的な大勝を収めた。

与党に圧倒的な信任を与えた韓国国民の胸の内はどのようなものだったのか。私なりにまとめれば、「元からしんどい経済は、コロナウイルスでもっとしんどくなった。でも政府は上手くコロナウイルスに対応している。進歩与党が素晴らしいとも思わないが、時代遅れ、的外れの保守野党に入れるのはもっといやだ。」こんな感じではなかったかと思う。

投開票日、私はある共に民主党候補の選挙事務所で開票番組を眺めていた。午後6時、投票が終わり、6時15分に出口調査の結果が公開される。緊張の瞬間だ。

(写真:出口調査の結果発表をカウントダウンするテレビを見つめる与党候補支援者たち)

与党単独過半数は確実との結果が発表されると、事務所は大きく沸いた。そして、蓋を開けて見れば、単独過半数どころか単独で180議席である。激戦区での戦いの多くを、最後は与党候補が制した。

開票では、当日投票分からカウントが進み、その後で期日前投票分のカウントがされていく。

私のいた事務所でも、最初は野党「未来統合党」の候補が最大2千票差程度で先行し、重苦しい雰囲気が立ち込めていた。しかし、午後11時ごろから期日前投票の開票が始まると、票差が千票差、5百票差と縮まっていき、12時を回ったころに遂に逆転。その時「勝った!勝った!」の大合唱となった。

今回の選挙では、期日前投票が過去最高の26.7%の投票率となった。与党を応援する仕事を持った忙しい若者から40代の層が、事前に投票を済ませており、その層の票が最後に多く上積みされた可能性が高い。(出口調査は当日分のみを反映。)

今回は、キャスティングボードを握ることが多い50代でも、与党への支持が目立った。これで文大統領は、任期の終わりまでより安定した政権運営の基盤を手に入れた。

今回の選挙の結果を受けて個人的に興味がある点が3つある。

1. 保守は変われるか?
下記のリンク(韓国語)でも、タイトルから「保守派もう主流派ではない」との指摘がなされている。物凄く乱暴に言えば、「朴槿恵をいまだに擁護する変な老人達の集まり」と思われている今の保守のイメージからいかに脱皮し、再度中道を取り込める責任政党になるかが鍵だろう。記事中にもある「安保保守」「市場保守」の次の旗印をどう見つけるか。次の執行部には、難しいかじ取りが迫られる。

2. 地域主義は復活したのか?
今回の選挙では、前回第3極として登場した国民の党の議席が、2大政党によって吸収される形となった。くっきり色分けされた今回の選挙結果は、さながら地域主義への回帰のようにも見受けられる(リンク先参照、韓国語)。小政党に有利とされた比例代表制も、2大政党の衛星政党の出現で本来の機能を果たせなかった。地域主義は復活したのか?(いまだに消えないのか?)第3極はもう現れないのか?今後の気になる点である。

3. 日韓関係はどうなるのか?
日本人としては、この点も気になる所ではあるが、特に変化はないであろう。コロナウイルスからの経済回復が主眼となっている中、日本との外交に割くリソースはそこまでないであろうし、冷え込んだ日韓関係に何か外交的に大きな変化が起こることはないように思う。

新たな陣容での国会は、5月30日から始まる。今後の政権運営に注目していきたい。

永井宏志郎事務所(Koshiro Nagai Office)

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