息苦しさに抗うー終戦記念日を前にしてー

香港のデモのニュースを見て、心配する。
表現の不自由展とそれをめぐる政治家のとんちんかんな発言に、ため息をつく。
戦後最悪とも言われる日韓関係と両国のナショナリズムに、息が詰まる。

戦後74年の終戦記念日を前にして、改めて、日本人として、手垢のついてしまった自由と民主主義を考える時期に来ていると感じる。

香港のデモをめぐっては、「当初の逃亡犯条例改正反対の域を越えて過激化している」との見方があるらしい。これは確かにそうなのだろう。社会を動かすムーブメントが、その中に種々の相反する考えを内包してしまうことは、ある種仕方のない部分である。本当に見るべきは、運動が大義を失っていないか、その一点だろう。その点、私はこの自由と民主主義の戦いに大義はあると考える。だからこそ、国際社会は支えるべきだろう。

民主主義をめぐる戦いという点については、私が日本人としてこれまで気にかかっていたことがある。それは、4・5年前韓国に留学していた際に何度か聞いた「韓国は民主主義をつかみとったが、日本は与えられた」という意見だ。しかし、そんなことは取るに足らないことではないかと今は思える。民主主義を咀嚼・反芻し、理性の上に成立させてきたかということを考えれば、今の日韓関係に言及するまでもなく、日韓両国ともに疑問符がつくからだ。

何かをつかみとるための戦いがあれば、それを維持し、より成熟させるための戦いもある。

トランプ旋風にブレクジット、今世界のあちこちで、この理性の上に成り立つ、自由と民主主義が行き詰まりを見せている。相手を非難し、けなし、レッテルを張り、抑圧する流れが強くなっている。

そういった社会と息苦しさに国を越えて、立場を越えて、どう抗うのか。

今の日本社会の礎を築いてくださった先人に思いを馳せつつ、終戦記念日に今一度、自由と民主主義を考えてみたい。

写真は韓国・大田の夕焼け。

永井宏志郎事務所(Koshiro Nagai Office)

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